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あれからどれくらいたっただろうか、白き者はその気になれば気絶している左近を食いちぎる事も出来るが興味がないのか、なにもせずただ夜空に浮かぶ月を見上げていた
「うっぅ」
左近が気を取り戻したが、まだ視界がぼやけてハッキリと景色が見えていない
「なんだ…何があったんだ…ここはいったい…確か山で野草を採って……ハッ!」
頭を抱え今までの事を思い出す
「そうだ!あいつに飛ばされたんだ…あいつ、人の事を殴りやがって、手当てしてやろうと思ったのに、どこに行きやがった」
視界が戻ってきたのかだんだんと見えるようになり目の前にいる白き者に驚いたが普通に話し始めた
「なんだよ、まだ目の前にいたのか、さっきはよくもやったな……てっ、触った所どこか痛かったかごめんな、ビックリしたんだよな」
白き者は驚いた今までの人間と違う左近の態度に、そして左近も驚いていた、さっきまで恐かった白き者に普通に接している自分に
「今度は気をつけて触るから、痛かったらごめんな、でも痛くてもいきなり殴らないでくれよ」
また左近が傷を触ったが今度は白き者も根気負けしたのか腕は地面に着いたままだった
「よし!傷はそんなに深くない、俺が集めた野草を塗っておけばそのうち治るよ、待ってろ今すり潰して塗ってやるからな」
左近は白き者のために明るい内に集めた野草を大量にすり潰し白き者に塗ってやり、持っていた手拭いで傷の箇所を縛ってやった
「これでよし、もう大丈夫だ、だけどあんまり走るなよ、しばらくは歩きで生活しろな」
左近の言う事がわかったのか白き者は立ち上がり、ゆっくりと歩きだしたのだった
「もう罠にかかるなよ、じゃあな…ふぁ~」
白き者を見送り左近は疲れたのか野宿をしていた場所ではなく、その場で木に寄り掛かり瞳を閉じたのだった
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