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走っていく左近を見ながら二人は林の中に消えて行った、そこには先ほど左近が手当てした白き者がいた
〔すまなかったな二人とも〕
男女は驚きもしないで近寄り、こう言った
【『よして下さい、貴方様に頼まれたら嫌とは言えませんよ、ましてや貴方様の傷を治してくれた人間、私達にとっても命の恩人ですよ』】
二人は息もピッタリにこう言うと元の姿と形を変えた。
『私達、化け一族』【人間えと姿を変えるのは】【『簡単な事でございます』】
茶と黄の二匹は笑いながら言った
〔そうか、簡単か、ま~よい、しかしあの人間二人を振りほどいてまでも村に戻るとは、よほど家族思いな奴よ〕
だが、白き者はよからぬ物を感じた、それは左近によからぬものを見たからだ
〔どおも、嫌な予感がする、ワシは山を下りる〕
白き者の言葉に驚く二匹
『なぜです、あの人間には行くなと忠告しました』【それも聞かずに山を下りたのはあの人間ですよ、それに傷が】
白き者を止める二匹だが白き者の言葉で二匹は何も言わなくなった
〔あの人間、ワシの感じた事のない感覚を持っていた、それに奴の目、濁りが全く無かった、ワシはあの人間に賭けて見ようと決めたんだよ、何の為に生きて、何の為に死ぬか一度あの人間に聞いて見たいと思った、それにワシを見る事、触る事…とても勇気がいる、それに治療の借りも返さねばな〕
そう言うと白き者は走り出し、あっと言う間に左近に追いついたのだった、そして左近の着物の衿をくわえ自分の背中に掘り投げた
「うわぁ」
一瞬何が起きたかわからなかった左近だが白き者の上だと気づく
「お前は………こうなればなりふり構えない、頼む言葉が通じるかわからんが村に、俺を村に連れていってくれ」
左近の言葉に反応して白き者の速度は速くなり、左近と白き者は村へと下りて行った。
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