痕ーアトー

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「そのままの凜香でいいよ、ただ俺がもうリストカットしなくてもいいように、傍にいる。約束したい」  雪の言葉が嬉しくて、雪の耳元に顔を寄せる。  そっと囁く。 「約束してよ、寂しくなって不安になっても、暴走しなくていいように傍で手を握ってるって」 「わかった、約束する」  私は雪に触れるだけのキスをした。  もっとすごいのはシてるのに、触れるだけなのに恥ずかしい。  雪の目がまともに見れない。  ねぇ雪、知ってた?  私、フレンチキスは雪が初めてなんだよ。  今はまだ言葉にできないけど、いつか「好き」って言いたい。 ‘生きてる’ってどうやったら 実感できるのか、まだわからない。  でも雪がそっと手に触れるだけで、リストカットやHと違う、優しい気持ちになれる。  温かな気持ちに包まれるから、私‘生きてる’って少し思えた。 NEXT後書き
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