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骨ばった手が私の右手を止める。
「なんでいるの?」
「凜香が呼んだから」
「それにしちゃ早いじゃん」
握り込んでいたカッターをムリヤリ離されて、私は彼、雪と向き合う。
ベッドの上に私は座り、床に尻を着いて私を見上げる雪。
「カギ開いてたから勝手に入った」
「その発言、ストーカーっぽいからやめてよ。和音にバレたらどうすんの?」
足をブラつかせて苦笑い。
「今日みたいに修羅場になるとか。いったい何したんだよ?」
「なーんだ、もう知ってんだね。さっすが私!」
ベッドから入ってくる月光を見てるのも悪くない。
月が私を惑わして変な気分になる。
不安で、心細くて、寂しくて。
目の前には雪がいるのに、世界は私と月だけしか存在しないみたい。
「誤魔化すなよ」
「べつに、いつものこと。一週間くらい前に知り合った男と何回かヤっただけ。そいつがたまたまミスキャンパスの華南サマがご執心の彼氏だったって話。めでたし、めでたし」
「っ、茶化すなよ。なんで?俺がいるのにヤったって」
「なんかそれ、彼氏っぽい発言だね」
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