痕ーアトー

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「そんなことわかってる、でもさ、誰でもいいなら俺だけでもいいじゃん」  雪が見つめてくるのが切ない。  すると視界が反転する。  天井を見つめる。  ーー押し倒されたんだ。  やっぱり他人事。 「凜香と一つになりたい」    その瞬間、私は雪を突き飛ばしていた。  一言で表現するなら冷めた。  よくカップルが「一つになりたくて」、なんて表現するけど、私は違う。  一つになんかなりたくない。  自分って存在が不確かなのに、これ以上私は自分を失くしたくない。  私が誰とでもHするのは、一人じゃないってわかるから。  私はここにいるって、痛みで快感で実感するから。  要はリストカットと同じ。  だから他人なら誰でもいい。  だって私は幸せなHなんて知らないから。 ,
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