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「─…はい、どちら様ですか?」
寝起きとは悟られないように、少し声色を作る。
インターフォン越しに相手に呼び掛けると、部屋に響いていたチャイムが消えた。
それから、ほんの少し間を置いて。
「月下翔子様のご自宅ですね?
お荷物をお持ちいたしました。」
落ち着いた、若い男の声。
(なんだ、宅配便か。…待たせちゃって悪かったな)
相手が宅配便の配達員であることが解ると、5分以上も玄関先で待たせてしまったことを、少し反省する。
「あ、ごめんなさい、ちょっと待ってて下さいね」
受話器を置き、玄関へ向かう。
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