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立ち読みを始めて、10分くらい経っただろうか。
図書室のドアが開く音がした。
誰か来たのかな?
くそう、貸し切り状態を満喫していたというのに……。
一瞬だけドアを見てから、俺は立ち読みを再開した。
まだ序盤なのにすごく面白くてページをめくる手が止まらない。
さすが寺田 勇の書いた小説だ。
寺田 勇の小説を心の中で絶賛していると、先ほど図書室に入ってきた人物がこっちへ向かっていることに気付いた。
足音がだんだん近くなるのを感じながらも、俺は本から顔を上げることをしない。
というより、小説に集中しすぎてそんなの気にする暇もなかった。
目を離す隙も惜しいくらい、寺田勇の小説は面白いのだ。
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