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入学式から早いもので2ヶ月が経った。
今の季節は初夏で梅雨。
じめじめと蒸し暑く、過ごしにくい日々が続いている。
そして、俺と閣下の関係も続いているわけで……。
「……暑い。イライラするわね。太陽、一発殴らせてよ」
「そこでハイって言う奴はこの世に1人もいませんよ?」
「この世にいないならあの世にはいるって言いたいの?」
そう言って閣下は、Sっ気たっぷりの笑みをうっすら浮かべた。
ちっ、屁理屈かよ。あの世にもいないと俺は胸を張って言えるわ。
昼休み。雨がザーザー降ってて、屋上は使えない。
だから最近の2人のたまり場は、図書室の奥の席。
クーラーが効いてて涼しいのに、閣下はなぜか暑いらしい。
「あ~つ~い~!」
「ちょっと静かにしてくださいよ……うるさいっす」
2ヶ月経ったけど、恋人としての発展はナシ。むしろ主従関係のが発展してるくらいだ。
パシリによく使われる俺。
本当に俺は彼氏でいいのか。
そんなことを考えていると、閣下がなにかを思いついたように勢いよく立ち上がった。
「夏祭りに行きましょう!」
閣下の大きな瞳は楽しそうに爛々と輝いていた。
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