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カジノとショーの街、ラスベガス。
この街に、青年と中年の二人組の男が旅行にやって来た。
ホテルのチェックインを済ますやいなや、足早に階下のカジノに向かった。お目当てのゲームを探すためだ。
現金をチップに換えると、彼らはルーレット台へと向かった。
「俺はギャンブルの中でも、特にこのルーレットが好きでね。よしっ。さあ、やるか」
中年の男ははやる気持ちを、もはや抑えきれない様子だった。一方、青年はあまりギャンブルには興味はないようだ。
「僕は見てるだけでいいですよ。賭け事は昔から苦手なんです。ジャンケンだっていつも負けてばかりでしたからね」
と、遠慮がちに勝負に加わろうとせず、そばに立って見物しようとしていた。
「そうか。でも、せっかくカジノに来たんだ。実際に金を賭けなくても、予想だけでもしてみたらどうだい」
彼は青年をゲームに誘ってみた。
青年は少し考える。
「そうですね。それでしたら、ちょっとだけやってみましょうか。よーし……」
赤・黒・赤・黒・黒・黒・赤・赤・黒・赤・赤・赤・黒・黒………………
ルーレットは回る。
ゲームは進行していく。
ディーラーが40投目のベット(賭け)を終えた。
隣で賭けていた中年の男は、目を丸くして青年を見ていた。
青年は恥ずかしそうに照れて笑っていた。
「ほらね。やっぱり賭けてなくて正解でしたよ。 僕にはギャンブルの才能なんて全くないんですから」
青年の予想は「全て」はずれであった。
Fin
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