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『何処か、遠い所に行きたいな。』
発端は彼女のその一言だった。
清潔感溢れる白い部屋、ベッドの上で体を起こした彼女は、力なく、それでも精一杯の笑顔を作り、俺にそう言った。
『何処に行きたい?』
『何処でもいいの。ただ、今を忘れてしまえるくらいに遠くて・・・そして、楽しい場所。』
忘れてしまいたい、その思いは俺も同じだった。
だからつい、言ってしまったんだ。
『行こうか、二人で。』
そう、言ってしまったんだ・・・・。
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