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決めてしまってからは早かった。
俺はその場で彼女を連れて部屋から抜け出した。
一刻も早くこんな無機質で殺風景な檻のような場所から逃げ出したいと、そう思ったからだ。
今思い返せば、無計画の上に無謀なガキならではの短絡的愚行だった。
その先に待つ後悔なんて、これっぽっちも頭になかったのだから。
その時はそうすることが最善で、彼女のためになると心から信じていられた。
手を引く俺に、彼女は黙ってついてきてくれた。
それだけで、たったそれだけで、俺は自分が間違っていないと錯覚した。
自分勝手な自己満足の昂揚感に酩酊者のように酔いしれた。
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