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目の前には、拳銃を構えながら、他の警官と無線でやりとりしている制服姿の若い、体つきのいい男が一人。
そいつは無線で他の警官と話ながら、俺にじりじりと近づいてくる。
それに応じて、俺は、危険意識に苛まれてしまい、ずるずると後ろの壁に向かって後退する。
ピンチの時に決まってにじみ出る汗が頬まで流れて、やけに鬱陶しい。
トスッ!
その音と同時に、完全に密着した背中と、その時の振動で飛び散る汗。
まさに今、絵に描いたような、“袋の鼠”だ。
「…おいッ!
お前、もう逃げられないぞ。」
いつの間にか話し終わっていた警官は、無線を胸のポケットにしまいながら、そんな台詞をはいた。
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