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「新道さん。胴元で勝負出来るギャンブルの種類はなんですか。パチンコですか、それともレースとかカジノみたいなのとかですか。」
遥斗は興奮を押さえきれずに、捲し立てる様に質問していたが、遥斗とは逆に新道は冷静に答えていた。
「ギャンブルの種類はご自由にどうぞ……。」
「えっ。自由……。自由とは具体的にどういう事ですか。」
「ギャンブルの種類や、ルールに掛け金。それからギャンブルにかかる時間なども、すべて胴元に決めて貰います。わが社は、ギャンブルに必要な場所と材料を提供するだけで、胴元側のギャンブル内容には一切関与しません。」
嘘だろ……。
ギャンブル内容をすべて決められるとか、そんなの胴元が圧勝するんじゃないのか……。
「たっ例えばですね。格闘ゲームとかで俺が負けたら百円払います。あなたが負けたら一万円貰いますとかの、そんな胴元が有利なルールでもいいのですか。」
「うむ。もちろんです。まぁ明らかに胴元が有利な条件なギャンブルには、お客さんは来ないでしょうが、そんなギャンブルでも王国では一切問題ありません。」
凄い……。
凄すぎる……。
今すぐにでも王国に行きたい。
でも話しをすべて鵜呑みには出来ない。
話しの規模が大きすぎて俺にはよく分からないけど、ギャンブルだけの王国とか本当にそんな事が出来るのだろうか……。
興奮していた身体を押さえる様に、遥斗は一つ深呼吸して冷静に頭の中を整理していた。
「どうですか遥斗さん。王国の国民となって胴元ギャンブラーとして生きていきませんか。」
冷静に考えると怪しい箇所はかなりある。
でも本当の話しなら人生をやり直せる気がする……。
遥斗は暫く考えた後で、新道に問い掛けていた。
「もし王国に行っても、また日本には帰って来れるのですか。」
「うむ。これは意外な言葉ですね。遥斗さんは日本にまだ未練があるのですか。」
未練は全然ない。
働いても微々たる金しか貰えないのに、上の人間は命令したり遊んだりしてるだけであり得ない金を稼いでいる。
上の人間なんて下の人間を、働きロボットぐらいにし思ってないんだ。
こんな世の中は、本当にどうでもよかった。
でも……。
一つだけ心残りが……。
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