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「では遥斗さん。移動しますよ。タクシーを呼んでますので乗りましょう。」
「はい。どこへ行くのですか。」
「遥斗さんの生活拠点となる場所です。」
遥斗と新道はタクシーに乗り込むと、白い王宮の場所から移動していた。
道中、車内の遥斗は、上機嫌で新道と会話を交わしたり、物珍しい白い国の光景を楽しんでいた。
タクシーからの景色からは、王宮とは違う色々な建物も目撃出来たのだが、どの建物も王宮と同じくすべて白で統一されていたのだった。
三十分程移動した所でタクシーは止まると、二人はタクシーから降りていた。
二人が降りた先には、白一色の一軒家が見渡す限り建ち並んでいた。
王宮の建物とは違い、目の前に並んでいる建物は、遥斗が日本で見ている普通の家庭の一軒家に似ていた。
「新道さん。ここが俺の生活拠点になるのですか。」
「うむ。ここがスカーズの住宅エリアになります。遥斗さんや他の国民の皆さんの生活拠点です。」
「はぁ……。もしかしてこの立派な家の中の一つに俺が住めるのですか。」
「もちろんです。遥斗さんの希望通り三万円の家賃の家をご用意しましたから。」
「三万円の家賃……。あっアンケート用紙の……。」
「うむ。では遥斗さんの家に案内します。」
数多く並ぶ住宅の中から、新道に案内された家には、沢村遥斗と書かれたネームプレートが付けられていた。
「この家が遥斗さんの生活する家になる3040号室です。」
「立派な一軒家ですね……。俺には場違いな気が……。」
新道は扉の鍵を開けると、手招きで遥斗を家の中へと案内していた。
遥斗が恐る恐る家の中に入ると、家の中には、テレビや冷蔵庫などの電化製品が備え付けあり、生活するには困らない充実した設備が整っていたのだった。
「うぉぉっ。」
目の前のあまりの光景に遥斗は驚いていた。
日本で借りていた安いアパートには無かった便利な電化製品の数々に、目を輝かせていたのだった。
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