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新道に案内された家は、日本でも高価な部類に位置付けされても過言ではない豪華な家だった。
まっまじかよぉ……。
家賃三万円でこんな家で生活出来るなんて夢みたいだ。
「それでは遥斗さん。スカーズでの生活の基本を説明しますので、座って話しますか。」
「あっはい。」
二人は家のリビングに設置されているソファーに隣同士で座り込むと、新道は目の前に置かれているテーブルに、持っていた黒いバッグを置いていた。
「ではまずはこちらをお渡しします。」
新道は黒いバッグの中から、一台のスマートフォンの様な白い機械を取り出して遥斗に手渡していた。
「これはスマホですか。」
「うむ。少し違いますね。それはスカーズで必要なブールと言う機械です。」
「ブール……。」
「うむ。スカーズの生活はすべてブールを中心に行います。使い方は本人音声関知システムを搭載していますので、ブールに直接喋って貰えれば大丈夫です。」
「直接喋る……。」
「うむ。例えば食事する時は、好きな食べ物を言って貰えれば大丈夫です。食事は必ず家でしてて下さい。仮に遥斗さんがラーメンを注文したら、数分後に本部からラーメンがこの家に届きますから受け取って下さい。」
「はぁ。なるほどです。お金は来た時に払うのですか。」
「いいえ。お金は払う必要はありません。」
「えっ。もしかして無料……。」
「いええ。残念ながら有料です。直接払う必要はないという事ですよ。ブールには個人の銀行システムが搭載されていますので、スカーズ内のお金の動きはすべて自動で動くのです。」
「自動……。すいませんちょっと理解が……。」
「うむ。では、試しにご飯でも食べますか、遥斗さんの好きな物をブールに直接喋りかけて注文して下さい。」
遥斗は困惑しながらもブールに向かってラーメンを注文していた。
「っと。ラーメンお願いします。」
『沢村遥斗様。ラーメン注文お受けしました。』
遥斗が注文すると、ブールから機械の音で返答の音声が流れて来ていたのだった。
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