ギャンブル王国スカーズ

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「うむ。これで注文は完了です。続いて残高表示とブールに喋って下さい。」 「はぁ……。」 遥斗は新道に言われるがままに、残高表示とブールに問い掛けていた。 遥斗の声に反応して、ブールの画面には文字が浮かんでいたのだった。 沢村遥斗様 残高0円 借金200円 ブールの文字を見た遥斗は、新道に問い掛けていた。 「これはどういう事ですか。」 「うむ。先ほど言った個人の銀行システムです。スカーズはお金はすべて本部で管理しています。食事を注文したり、ギャンブルの勝ち負けでお金が動いた時は、残高が自動で動きます。遥斗さんは今残高0でラーメンを注文しましたので、ラーメン代の二百円はスカーズからの借金となります。」 「なるほどです。」 「ブールは本人の声にしか反応しないので、万が一落としたりなくしたりしても悪用される事はありません。セキュリティは万全ですのでご安心を……。またこの銀行システムは、ギャンブル中のトラブルや、金銭を狙った犯罪の撲滅など、様々な面で役立っているのです。」 スカーズのギャンブルは異色である。 ギャンブルの種類や掛け金なども胴元側の言われるがままなだけに、ギャンブラー側で挑戦する時には、いくらお金を持ち運べばいいのか検討もつかないのである。 大きな勝負を望んでも、大金を持ち歩く事は、普通の人間なら危険を考慮して避けたい所だろう。 ブールの銀行システムは、それらの問題を見事に解決する優れたものだった。 「続いて借金の返済方法ですが、まずはギャンブルで勝って残高を増やします。遥斗さんが今の状況で千円勝ったとします。すると残高が千円に増えて借金は二百円のままです。残高から借金を返す場合はご自身のタイミングでどうぞ。」 なるほど……。 ギャンブルで勝つと借金返済ではなくて、残高が増えるのか。 増えた残高を借金返済に当てるのも、更にギャンブルで勝負するのも俺の自由って事か……。
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