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遥斗が考え込んで新道の話しをまとめていると、ブールから音声が流れていた。
『沢村遥斗様。ラーメンが到着しました。』
「おっわっ。」
突然ブールから流れた音声に、遥斗は驚いて思わず声を挙げていた。
「うむ。来たみたいですね。お腹減っているでしょう。扉の先に到着していますよ。」
遥斗はソファーから立ち上がると、小走りで扉へ向かった。
扉を開けた先には、ラーメンを運んで来た人物が立っていた。
「お待たせしました。ありがとうございました。」
ラーメンはすぐに遥斗に手渡されると、運んで来た人物は、足早に帰って行った。
遥斗はラーメンをリビングに運ぶと、新道がソファーから立ち上がり声を掛ける。
「どうぞ。私に構わず食べて下さいね。お腹減っているでしょう。」
「はい。実はかなり減っています。すいません。」
「いいえ。では食べながらでいいので聞いて下さい。」
「はい。ではいただきます。」
遥斗はラーメンを食べ始めると、あまりの美味しさに、口元は笑みを浮かべて幸せを感じていた。
新道は一人で食べている遥斗に気を使う様に、背を向けて背中越しに説明を続けていた。
「では食事の一連な流れと、銀行システムは大丈夫ですね。」
「あっはい。食事のシステムは、一人暮らしの俺には有難いです。」
「うむ。遥斗さんは残高がありませんので、詳しく借金の事をお話しします。まずスカーズ側が国民からお金を貰うのは、食事と家賃とギャンブルの費用の三つだけです。公共料金や冷蔵庫の中の飲み物やタクシーなどはすべて無料です。」
遥斗はラーメンを食べながら、新道の言葉に頷き、耳を傾けて黙って聞いていた。
「遥斗さんがギャンブルで勝負する時には、今の状態なら必ず借金からスタートになります。スカーズは国民お一人の借金の最高金額は一千万円となります。もちろん手続きや担保はありませんよ。」
「へぇ。一千万ですか…………。えぇ。一千万っ。」
新道が語る借金のあまりに高額な限度額に、遥斗は声を挙げて驚いていた。
「うむ。胴元でもギャンブラーでも投資金額が必ず掛かりますからね。まぁ限度額の金額は問題ではありませんよ。問題は金利です。」
「まさか……。金利が高いのですか。」
「えぇ。時と場合に依りますが。」
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