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日差しが照りつける昼下がりの公園では、ランニングで汗を流したり、砂場やブランコなどで遊ぶ親子など、様々な人達で溢れていた。
趣味や遊びなどで豊かな時間を過ごす人達の顔には、自然と笑みが浮かんでいた。
幸せに満ちていた公園内で、一人の男性が頭を抱えてベンチに座り込んでいた。
男性の顔は、幸せとは程遠い、絶望の表情を浮かべていた。
男性の名前は、沢村遥斗(さわむらはると)
遥斗はおよそ一時間前の、自身の行動を後悔していたのだった。
二十歳でギャンブルを覚えて約十年。
勝ち負けを繰り返しては、結局最後は負けて終わるという人生を過ごしてきたが、変化のない人生に嫌気が指していた遥斗は、ある決断をする。
その決断とは……。
人生一発逆転の、全財産を賭けての大勝負だった。
会社を辞めて退職金を受け取り、給料や僅かに貯めていた貯金などをかき集めて、全財産の百万円を手に、競馬場へと向かったのだった。
「絶対勝てる。今日勝って大金を手にいれて人生をやり直すんだ。負ける訳にはいかねぇ。」
何度も一人言を繰り返しながら、遥斗は競馬場に入って行った。
全財産の勝負だから負けるはずがない。
全く根拠のない自信が、遥斗の背中を強く押していたのだった。
遥斗は、一レースに百万円をすべて賭けると、物凄い形相でレースを見届けていた。
だが……。
人生が一人の人間の思い通りにいくはずもなく、遥斗は全財産を失い公園で後悔を繰り返していたのだった。
「くそ。くそぉぉぉ……。」
僅かに残っていた小銭で、ビールを買っていた遥斗は、すでに温くなったビールを一気に飲み干していた。
空になった空き缶を、怒り巻かせに地面に叩きつけると、遥斗は大きな叫び声を挙げる。
「くそったれがぁぁ。なにがギャンブルだ。所詮胴元が儲かるだけの詐欺じゃねぇか、ばかやろぉがぁぁ。」
遥斗の叫び声に、辺りにいた人達は驚いて、一人を除いて皆一様に遥斗の座るベンチから遠ざかって行った。
遥斗の投げ捨てた空き缶は、風にのって転がって行くと、一人でベンチ付近で立ち尽くす少女の足元で止まった。
少女は空き缶を拾い上げると、遥斗の座るベンチの横に置かれているゴミ箱に空き缶を捨てていた。
頭を抱えて落胆している遥斗は、少女の事など目に入っていなかった。
少女は更に遥斗に近づくと、一言声を掛けていた。
「胴元で勝負しませんかー。」
少女との出会いが、遥斗の運命を大きく変えるのだった。
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