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「そうそう遥斗さん。ラーメンの借金は消しますから安心して下さいね。私からの奢りです。丼は後で家の前に出して下さいね。本部が回収に来ますからお願いします。」
「あっありがとうございます。ごちそうさまでした。」
「いいえ。では健闘を祈ります。遥斗さんの活躍を本部から見てますからね。」
新道は遥斗に振り返る事なく、左手を上げて別れを済ませると、扉を開けて家から出て行った。
「ありがとうございました。」
遥斗は頭を下げてお礼を言って新道を見送ると、再びリビングのソファーに腰を降ろして考えていた。
まだ分からない事は沢山ある。
どうすれば胴元になれるのか、具体的にギャンブルについては、何も聞いて無いよなぁ。
それは恐らくこのブールで本部に問い合わせたら答えてくれるのだろう。
新道さんも国民一人一人に、すべてを話す時間は流石にないよなぁ。
それにしても正直興奮が収まらない。
ギャンブル王国スカーズ。
まさにギャンブル好きな人間の聖地だ。
燃えて来た……。
燃えて来たぞぉぉ。
ってやる……。
「やってやるぞぉぉぉ。俺は金持ちになるんだぁぁ。うぉぉぉ……。」
興奮した遥斗は、身体の中の感情を爆発させて家の中で大声を挙げていた。
遥斗の声は、外でタクシーを待っていた新道の耳にも聞こえていた。
遥斗の叫び声を聞いた新道は、静かに笑みを浮かべていたのだった。
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