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「なるほどね……。でも数字だけ見ると、胴元が有利なギャンブルに思えるけど、退場した人間がいないのはなぜだろうか……。んっっっ。気になるねぇ。」
小型ブールの情報を見つめながら考え込む遥斗は、決意して行動する。
ギャンブル内容やルールを聞くだけでも、何かを得られるかも知れない。
仮にギャンブル内容を聞いて、勝てないと思えば帰ればいいだけだし、勝てそうなら残高を増やすチャンスなんだ。
うっし。
考えるだけじゃ何も始まらな いから行くかぁ。
気合いを入れた遥斗は、営業中の家の扉へと歩を進めて行ったのだった。
軽く緊張しながらも、家の扉を開けると、一本道の通路が五メートル程続いており、その先には、部屋へと続く扉があるのを確認していた。
身体の中で緊張感が走り回るのを、気持ちを落ち着かせて収めながら、遥斗は通路をゆっくりと歩いていた。
やっぱ初めての所は緊張するなぁ……。
いや、わくわくしているのかもだ。
通路先の扉の前で大きく深呼吸をした遥斗は、気合いを入れて扉を開けていた。
遥斗が部屋に足を踏み入れると、部屋の中にいた人物が口を開いていた。
「いらっしゃいませ。」
部屋の中は十畳ぐらいの広さで、中心部に縦横二メートル程の、やや大きめの黒いテーブルが一台置いてあり、黒いテーブルには、向かい合う形で椅子が二つ置いてあるだけだった。
一つの椅子には、声を掛けて来た男性が座っていた。
「ようこそいらっしゃいました。私の用意したギャンブルを説明しますので、どうぞ空いている椅子にお座り下さい。」
「はい。では……。」
遥斗は空いている椅子に歩み寄ると、男性に軽く会釈して椅子に腰を降ろしていた。
遥斗はテーブルに両腕を置いて、静かに男性を見ていた。
胴元側の男性は、スーツ姿にとても落ち着いている感じだった。
年齢は遥斗と変わらないぐらいだったが、醸し出す雰囲気は、一般人とは、何処かかけ離れていたのだった。
なんだろうか……。
俺みたいな、ただ人生を過ごして来た様な人間には、絶対に纏えない雰囲気の人だなぁ。
社長クラスの人だろうか……。
でも、こんな人がなぜこの国に来ているのだろうか……。
「では、私は胴元側で営業している牧定晴(まきさだはる)といいます。さっそくですが、ギャンブルの説明をさせて頂きます。今回私が用意したギャンブルは、積み木チャレンジです。」
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