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『只今の勝負は胴元側の勝利です。』
部屋中に音声が響き渡る。
音声は、ギャンブルを監視していたスカーズ本部からの声だった。
ギャンブルの最終的な勝敗は、ルールを確認した上でスカーズ本部から下される。
スカーズ本部からの判定は、どんな状況でも決して覆る事は無いのだった。
胴元ギャンブラー全員は、最終的に下されるスカーズ本部の声を、聞き入れなければいけないのだった。
即ち、遥斗の積み木チャレンジ敗北が確定したのだった。
「では、私が用意したギャンブルは一日一回の挑戦となりますので速やかにお帰り下さい。」
牧が遥斗に声を掛けると、遥斗は椅子から立ち上がり、困惑しながら扉の方に向かった。
無言で遥斗が部屋から立ち去ろうとした時に、更に牧が遥斗に言葉を掛ける。
「私は明日もこの家で、同じギャンブルを用意しています。明日も挑戦お待ちしております。」
背後に牧の言葉を受けながら、遥斗は扉を開けて部屋から立ち去った。
肩を落とし通路を進んで行くと、家の扉を開けて遥斗は外に出ると、力無く空を見上げて、扉の上に設置されている小型のブールの情報を見つめていた。
本日訪問21人
退場0人
勝者7人
敗者14人
情報を確認した遥斗は、タクシーを呼ぶと、真っ直ぐ自身の家へと帰って行くのだった。
タクシーの車内でブールを使い残高を確認すると、借金の表示の所には負けた金額の五万円が加算されていたのだった。
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