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んっ……。
俺はどうしたらいいのかな。
沈黙は苦手だなぁ。
しかし、あの子供は本当に大丈夫だろうか、悲鳴が聞こえたらすぐにでも助けないとだな……。
遥斗は少女の事が気がかりだったが、時計を見続けておよそ三分後に、新道が話し始める。
「では今二十三時になりましたので、時間に間に合った遥斗さんは、正式に権利を獲得されました。早速ですが胴元ギャンブラーになりますか遥斗さん。」
遥斗の頭に住み着く謎の言葉。
胴元ギャンブラー。
言葉の真相を確める為に、遥斗は新道に質問していた。
「新道さん。そもそも胴元ギャンブラーってなんですか。俺そんな言葉聞いた事がないのですが……。」
「うむ。そうでしょうね。ではこれから私が話す事は誰にも話さないで下さい。私と遥斗さんの秘密と言う事で約束出来ますか。」
「大丈夫です。もちろん約束出来ますよ。そもそも俺には、親も友達もいません。話す相手が存在しませんから」
遥斗の言葉を聞いた新道は、特別表情を変える事は無かったが、内心はある思惑を抱いていた。
孤独の人間か……。
うむ。これは何かと好都合だ。
「うむ。では安心して話せます。信じて貰えないかも知れませんが、私がこれから話す事は、嘘偽りのない真実です。」
遥斗は生唾を飲み込んで、どのような話しが聞けるのか期待を膨らませていたのだった。
「わが社はある王国を築いていました。その王国がようやく完成したのです。そして現在王国に住む国民を、年齢や性別を問わずに集めているのです。」
「はぁ……。王国ですか……。」
王国って何を言っているんだ新道さんは……。
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