少女

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遥斗は新道の言葉の意味が全く分からなかった。 遥斗が戸惑うのも無理はなかったのである。 新道が語る王国の事など、新聞やテレビでも一切取り扱われた事など無かったからだ。 新しい国が完成したとなれば、世界的に大ニュースと言える。 必然的に遥斗の耳にも何らかの形で届いて来てもおかしくは無かったのだった。 王国完成など聞いた事が無かった遥斗は、新道の言葉を到底理解出来る訳が無かったのだった。 明らかに疑っている遥斗だったが、遥斗の様子など気にする事もなく新道は遥斗に問い掛ける。 「遥斗さんは今の世の中に満足してますか。」 「いえ。正直もうどうでもよくなりました。実は今日も競馬で負けて、今俺は無一文状態です。正直明日からどうやって生きて行こうか悩んでました。会社も辞めたので収入もありません。」 遥斗は今の自身の現状を話すと、下を向き肩を落としていた。 あまりに情けない現状を、会ったばかりの新道に語る内に、やる気や根気など、すべて消えて去って行った。 「そうですか。まぁ下を向かずに顔を上げて下さい。わが社が求めているのは、まさに遥斗さんみたいな方ですよ。」 「ですよね。俺みたいな人間はいなくなった方が……。えっ。いまなんて言いましたか……。」 新道の言葉は、遥斗にとって救いの言葉だった。 俺みたいな人間を求めてるとはどういう事なんだ。 話しが全く見えない遥斗は、自身に舞い降りた希望の糸を掴む様に、顔を上げて新道に問い掛けていた。
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