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それから俺はどんどん孤立していった。
一人でいても孤独だと感じなかった。
てかむしろ一人の方が楽だった。
でもたまには先輩とのサッカーに参加した。
でも誰かが呟いた。
『アイツがいると必ず負けるんだよな。俺アイツと同じチームが良かったな』
それはある意味喜ばしい言葉かもしれない。
でも…。
俺はわざとゴールを外すようにした。
何回もガムシャラに走ってはゴールを目指し、けどわざとポストに当てて笑ってみせた。
先輩は言う。『どうした?お前の実力はそんなもんじゃねぇだろ?もっと真剣にやれよ!』
でも俺が真剣にやったら詰まらないじゃないか。だって先輩たちのサッカーってこんなに弱かったっけ?
久しぶりに参加する試合に俺は戸惑う。
違う…俺がやりたいのはこんなちっぽけなサッカーじゃないんだ!
悩んだ末に俺はゴールから遠いところからボールを蹴った。
そのボールはまるで吸い込まれていくようにゴールに入った。
俺はゴールに入れるつもりはなかった。
だって俺ってこんなに強かったっけ?
こんな簡単にゴールが決まる?
先輩は言う。
『お前何で喜ばねぇんだよ!すげぇよお前!』
俺はもう一度パスが来たから今度はもっと遠いところからシュートしてみた。
まぁ入ることなくボールはカットされた。
『お前ふざけんなよ?そんな遠いところから決まるほどサッカーは甘いもんじゃねぇよ!』
俺はその言葉に苛立ちゴールを決めたいが為に無理矢理ボールを奪い取りいつものようにドリブルしてゴールを決めてやった。その瞬間ホイッスルが鳴る。
『試合終了!』
『やったな!お前のおかげで勝てたよ!お前強いんだからもっと参加してくれよ!なっ?』
先輩は笑顔でそう言った。
俺は言い返した。
『違う!俺がやりたいのはこんなサッカーじゃないんだ!』
一瞬でその場が静まり返った。
で、先輩に言われた。
『じゃあお前がやりたいサッカーはどんなサッカーだ?』
分からなかった。俺がやりたいサッカーって?
もっと楽しいサッカー?それとも…
『先輩、やっぱ自分サッカーなんていいや』
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