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「……あの、僕に何か用ですか?」
叩かれた肩が意外に痛かったので、少しムッとして聞く。
「おーおー、そんな顔しないって。悪かったからさ」
手を前に出して宥めるような仕種をする裕司。
「っで、なんか用でもあるのか、だっけ?用がなければ話し掛けちゃいけないのかって所だけど、実際あるからねぇ~」
近くの机にどっかりと座って鞄を降ろす。
座りなよ、と促されたので自分の席に座った。
「幸裕はさぁ。この町に引っ越してきて何日目?」
「……まだ二日だけど」
出会って、ほんのわずかな時間で、下の名前で呼ばれたことに違和感みたいなものを幸裕は答えた。
対する裕司は、それを聞いた瞬間、目を輝かせた。
「じゃあ、まだ“夜のこと”については何も知らないんだな?!」
一人興奮する裕司に、幸裕はたじろいでいた。
数分前までに抱いていた、裕司の印象は早くも崩れ落ちていた。
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