プロローグ

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  暗い路地裏を一人の男性が走る。 悪魔から、恐怖から逃れるように。 ――ハァ、ハァ……クソッ!何なんだよあの化け物は! 近くに積んであったゴミを飛び越え、着地に少し失敗しながらも、必死に逃げる。 いつもと変わらない日常だったはずだ。 仲間とともにひ弱で、尚且つ金を持っていそうな人を狙っては、皆で集(たか)って、の繰り返しをしていた。 ある程度集まったので、引き上げにしようとしていた所だったのだ。 5、6人いた仲間は既に全員やられてしまった。 逃げる宛てもないが、死に物狂いで走り続ける男。 そんな彼を嘲笑うかのように“ソイツ”は現れる。 「あ、あぁぁぁぁ………」 いつの間にか、男の目の前にいた“ソイツ”は、ゆっくりと前に近づいていく。 「ち、ちくしょう!何者なんだよ、お前は?!“能力者”なのかよ!」 後退りをしていた男は、足を滑らせて転んでしまう。 そんな彼の目の前に立ち尽くしていた“ソイツ”は、手から風の刃を作り出した。 「や、やめろ……やめてくれぇぇぇええぇぇええ?!」 一つの叫び声が路地裏に響いた。 ――ここは、常識とは掛け離れた非日常の世界。
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