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たかが自己紹介で大袈裟な、という人も中にはいるかもしれない。
でも彼にとって、新生活のスタートとも言えるこの自己紹介で、高校生活の第一印象が大まかに決まってしまうのだ。
初めて会う人達にとって第一印象はかなり重要だ。
「―――これから、一年間仲良くしてください」
前の人の自己紹介が終わり、ついに幸裕の場合が来てしまった。
緊張した足どりで教卓の前まで行き、そして話した。
「えっと………池宮幸裕です。中学は静岡だったのですけど、憧れだったこの町に引越してきました。まだ、知らないことが沢山あるので、良かったら教えて下さい。一年間よろしくお願いします」
皆からの拍手を得て、少しホッとした顔をして自分の席についた。
――良かった。噛まなかったし、普通の自己紹介は出来たかな。
インパクトの強いことはしなかったが、それでいいと幸裕は思っていた。
――すべって台なしにするよりは遥かにマシだよ。
先程までみたいにそわそわせずに、リラックスして次の人の自己紹介を聞いていた。
そんな彼の後ろ姿を、目を輝かせながら見ていた少年には気づかずに。
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