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「よっ、いーけーみーやー君!」
自己紹介も終わり、担任の先生が学校について少し説明して、本日の授業(?)は終了した。
特に学校に残る理由など無かった幸裕が、鞄を持って帰ろうとしていると、一人の生徒に話し掛けられた。
先程、幸裕の後ろ姿をずっと眺めていた少年だ。
「……うわっ、あの子かわいそう。入学早々、“奇術士”に目をつけられるなんて」
「……引っ越して来て間もないはずなのに、運が悪いねぇ」
近くで見ていた生徒がこそこそと、幸裕と少年について話していたが、彼等は気づかなかった。
「……えっと」
「俺の名前は浦島裕司(うらしま ゆうじ)。以後よろしく~」
名前を思い出そうとしていた幸裕を遮って、紹介する裕司。
――なかなか、明るそうな人だな。結構いい人かも。
「なかなか、明るそうな人だな。結構いい人かも」
「えっ?!」
驚く幸裕にニヤリとする裕司。
「って、顔に書いてあるぜ」
楽しそうに肩をばしばしと叩く。
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