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―後悔のない人生はない― 誰が言った言葉なんだろう。 これは、太陽が東から昇り西に沈むことのように、もはや定理なんだろう。 「悔いのない人生を生きる」 なんて立派な志。 それ自体は否定しない。 そうやって生きられたら幸せだろうなと思う。 … でも、無理なんだ。 長い人生、どんなに必死でもがいたとしても、人間が不完全である限り、後悔は生まれる。 そして人はいつだってこう思う。 「もしもあの時、こうしていれば…」 リスクが嫌いな俺が過去に行った数多の選択。 安全に順調に生きてきたはずの俺の人生は、それでも後悔ばっかりだ。 1番の後悔は… 俺はあの日、「もしも」の先に待っている未来を知ってしまった。 それは、思い描いていた景色よりももっとずっと、どうしようもない現実だった。
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