第三章

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「今日はお祝いしようね。ケーキ買って帰ろう。」 「そんなに大げさにしなくてもいいよ。」 僕が姉さんの好物を作り、姉さんは洋菓子店で一番高いケーキを買ってきてくれた。 並べられた料理や皿を見て、わずかに寂しさを感じる。 そこには、いっしょに喜んでくれたはずの一真さんの姿はなかったから。 もう一度、二人だけの生活に戻っただけ。 でも、それは一真さんに出会う前より遥かに寂しく感じる。 やがて僕は高校を卒業した。
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