第一章

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僕は桜が嫌いだ。 何故なら… この花が咲くと、いつも大切な人がいなくなってしまうから。 春まだ浅い三月の初め。 高校の入学が決まって、恩師に挨拶へ行った帰り道。 いつもの近道の土手を抜ける。 春には花見客で賑わうそこは、季節はまだ少し桜には早い。 「これからは学歴で差が出てくるわ。高校は行っておきなさい。」 父さんが倒れなければ、姉さんは中退して働くこともなかったのに。
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