崩れ落ちたものに縋り付いてるほど私は幼くない

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お母さんがキッチンから顔をヒョコッと出して、ニコニコと提案してきた。 「もうそろそろ海開きじゃない?友達と一緒に行ってきたらどう?」 海かぁ。一昨年行ったきり行ってないな。去年はお父さんのことがあって、そんな気分じゃなかったから。 「それがいい。少しは体も動かさないと」 どうしようか。夏休みにはバイトも入れたい。 正直、バイトを入れないと家計は火の車。 遊びに行っている時間があったら働きたい。 「いいのよ、一日くらい休みの日があっても。晴は頑張り過ぎ。心も解放しなきゃ、息苦しくて大変よ?」 でも、出来るだけバイトは休みたくない。 「バイト、一日休んでも家計にはあまり関係ないわよ?だから、行ってらっしゃい!」 心を読んだかのように、お母さんが言った。 大丈夫、なら行こうかな… 「うん、行ってくるね」  
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