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おはようっていう君の声がまたいつもの今日のように、聞けることを俺は願い続けている。
手に触れる君の透明な水のような髪が、いつもの今日のように俺の胸の鼓動を高めて欲しい。
いつもの今日のように、りなを愛するこの気持ちが、いつの明日であっても、薄れて欲しくないと
俺はただただ切に思う。
「おはよう」
「……おはよ」
気まぐれで移り気なこの世界で、今日の俺と君を守るため、俺はいつも戦っている。
「夏休みー」
「…だね。りな今日部活は?」
「…今はいーの」
「怠慢」
「じゃあ陽こそ部活!」
「…今はいいんだよ」
「ふふ、だよねー」
布団の中に潜り込むりな。俺はぎゅっとそれを抱きしめる。
身じろぐりな。
「あついぃー」
「クーラーついてるよ」
「離せー」
「やだ」
うう、唸って大人しくなる彼女。
俺はふっと息を漏らして笑った。
「思ってないくせに」
「え?」
「離せなんて、思ってないでしょ」
布団を剥がすと、君の赤くなった頬が見える。
俺はそこに最上級の愛を込めて、口づけをした。
いつだって俺は、明日の俺と戦ってる。
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