13人が本棚に入れています
本棚に追加
真っ暗闇。
光なんて、どこにも差さない。
不意に現れる、大勢の人。
『普通、そんなにしょっちゅう具合なんて悪くならねえよ』
『どうして休んでるくせに勉強はできるんだ』
『そんなに病弱で、将来どうする』
無数の声が、責め立てる。
……やめろ、やめろ!
どんなに叫んでも、声にならない。
『怠けるな』
『もっと頑張れ』
……頑張れって言うな! 僕は…僕だって…
声は、出ない。
襲ってくる、とてつもない絶望感。
気がつけば、暗闇の中で、独りぼっち。
誰も、いない。
誰も……
「…ん、蓮」
声がした。
そして、額に冷たい感触。
瞼を開けると、そこには君の姿。
学校から帰って、そのままの服装でベッドに入ってしまったようだった。
「すごい熱。体温計どこ? 咳とかは出る?」
熱のせいでぼんやりしながら、体温計のしまってある物入れを指さした。
程なく、君が体温計を持ってくる。
「泉澄、どうして…」
「覚えてないの? メールで、熱出たって」
全く覚えてなかった。だが、携帯は枕元にある。
……無意識に、連絡してたのか。
最初のコメントを投稿しよう!