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「本当に迷惑だったら、部屋に入れないよ。気に病むことない」
……僕がいるから。ずっと君を、見つめてるから。
口には出せなかったけど、そんな想いを込めて、僕は君の髪をくしゃくしゃにした。
「なんで? どうしてそんなに優しくできるのよ」
涙声になりながら、君は言う。
強くて、そして危うい君。
好きだ、という言葉をぶつけたら、粉々に砕け散ってしまいそうで。
「何も心配しなくていいから。ここにいていいんだよ」
再び君をベッドに横たわらせる。
不意に君が、僕の腕を掴んだ。
「そばにいて…くれる?」
君が望むなら、ずっと僕はそばにいるよ。と、心の中で呟く。
「うん。ここにいるから」
差し出された手を、僕はしっかりと握った。
……このまま、時が止まってしまえばいい。
暗い部屋の中で、時計だけがカチカチと無機質に時を刻み続ける。
時間は止まらない。
永遠なんてものは、ない。
だから。今この時を、大切にしたい。
降りやまない雨の音に耳を傾けたまま、僕は君のそばにいられる幸せをかみしめていた。
―――――To be continued...
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