なつそら

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桜の木から桃色がなくなって 黄色の菜の花が店に並ばなくなって 久しぶりに窓を開けてみるとふと夏の匂いがそこまで来ていた 氷を買ったり 自販機からホットが消えてたり そろそろ花火が売り出したり ミョウガを乗せた冷奴が無性に食べたくなったり 冬とは違う切なさに襲われたり 去年は暑かったなぁとか考えてまた夏が来る 夏は蠱惑 いろいろな感情が張り巡る なんでかな? 涙が出る 大切な人が死んでしまう事が怖くてたまらない どんな別れでもきっと後悔は残る あぁしとけば良かった こうすれば良かった 後悔を残さずにベストを尽くすのは無理 それはきっと現実を受け入れるのに時間が掛かるから 自分の落ち度を必死に探す 自分が辛くてもいくら泣いてでも それでもきっと笑っててほしいんだ 約束と言える約束をいくつしたかわからないけど ずっといてほしいという約束は守れるだろうか 守ってほしいし守りたい 壮大で漠然だけど隣でずっと笑っててほしい 大きな宇宙の小さな星になっても気が付いてほしい こんな事考えてるより刹那主義になりたい そうしてメンソール成分が恋しくなる夏がやって来る 年を老いてきたら自分もわかんなくなって 見慣れた道も忘れて 思い出とかが頭から薄れていって ただ生きてるだけってなるだろうな でもなんとなくは心は覚えててなんとなく思い出して それだけで生きてる実感するんだろうな 沢山薬飲んで生きれる命 過剰に飲んで消える命 体を休める睡眠 永遠に体を休める睡眠 一人ぼっちなわけないのに 誰もが誰かと繋がっていて一人だけの命じゃないのに 天国とか地獄とかないかも知れないけど ならなおさら現世を精一杯生きてから後の事は考えよう なんて夏空見上げて思ってみたり そんな事考えて生きてみたり
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