今、動き出す。

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何分経っただろうか? 『お酢』という言葉にここまで刃があったことを知り、軽い頭痛のする郁斗は時計を眺めていた。 (3……2……1……) チャイムが鳴り響く。 結局、昼休みを『お酢』の話で過ごした郁斗達は、ヘタヘタとその場に座り込む。 水野はサディストだ。 「んじゃ、お酢は2リットルだよ。」 それだけ言うと、水野は手を振ってクラスへ戻って行った。 「つ、疲れた……」 谷本は顔をしかめる。 この話になんとなくだが納得した郁斗は、2リットルは無理でも紙パックの酢ぐらいは飲んでもいいだろうと思う。 「いっくん……後は放課後で……」 秋本は壁に手を伝いながらクラスへ帰る。 「いっくんって呼ぶなってーの……」 ため息混じりにそう言うと、郁斗も自分の教室へ戻って行こうとした。 その時だった。 「進藤君。」 振り返ると、この前と同じ服装をした中沢が立っていた。 「なんすか?」 郁斗は味気無く言葉を返す。 「野球部の話だけど……部室と練習場は確保出来たよ。」 中沢はニッコリと微笑む。 えくぼが出来る。 顔も悪くないし、彼女がいてもおかしくなさそうだ。 「っつーか、練習場も無いのにどうやって練習するつもりだったんすか?」 「はは。それを言われちゃあね。」
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