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言えるわけがない。
正美は自分と同じ制服を着た女子高生二人とすれ違った。
かわいい洋服が入っているであろうショッピングバックを両脇に抱えてアイスを食っていた。
あいつらバイトの金は全部自分のためだけに使ってるんだろうな。
正美は唇をかみしめて自転車を立ちこぎし始めた。
正美はバイト代をほとんど家に入れている。
就職してもっと家計の足しにすればいいってことも気付いていた。
でも
自分をすべて犠牲にしてしまうことは
きっと自分は壊してしまうと感じた。
だからフリーターでせめて好きなバイトを好きな時間でやらせてほしかった。
でもそれはただの言い訳だ。
それもわかってる。
バイト先に着くと背の高い男が紙を手にウロチョロしていた。
「この店になにか?」
正美が質問すると
男はニッコリと笑顔で
「バイトの面接にきたんですけど。
え、バイト?
どうみても30過ぎ・・・
この歳でバイト・・・。
まっいっか。
「じゃあこのビルの6階に事務所あるのでエレベーターで行ってください。」
「あ、ご親切にどうも。」
「・・・いえ・・」
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