プロローグ

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 社には何も怪しい箇所が無い。それを確認してから周りをぐるりと見回す。特にこれといって変なものは無かった。  さっきのは見間違いだったのか?  首を捻りながらもう一度社を見た。  その瞬間社の扉の隙間から可笑しな光が漏れた。それを見て背筋がぶるりと震える。目を見開いてその光を凝視する。  そう、それは確かに光なのだ。ちゃんと発行しているし、なんだが社の中を照らしているようにも感じる。それだけならば何も可笑しな光じゃない。いや、朝っぱらから神社が光っているのは可笑しいと思うけど。 そういうことではないのだ。  その光は『黒く』光っていたのだ。  真っ黒。何もかもを塗りつぶして消し去ってしまうような黒。  俺は未だ嘗て黒く光る光など見たことが無い。  青とか緑とかなら、理科の実験で見たことがあるが、黒はない。そもそも黒い光なんてそれこそ漫画や小説の世界でしか知らない。  驚愕に目を見開いていると、その黒い光は唐突にぱっと消えた。それにまた驚いてその場でしばらく社の扉を見つめていると、また唐突にぱっと黒い光が隙間から漏れ出した。  中に何かがあるのは確かだ。なにも無い所から光は発生しない。そして、真っ黒な光なんて普通は発生しないのだ。  俄然、興味が湧く。数分前の気持ちなど何処かへ消え失せて、今では入学式なんかよりもこっちの方がワクワクする。  俺はまたポケットから携帯を取り出してサブ画面で時間を確認する。八時二十分。まだ時間に余裕はあった。  家を早めに出てきたのは正解だったかもしれない。  そう思いながら、自身の好奇心に言われるままに俺は社に近づいた。今度の光はさっき発光していたやつよりも長く発行している。  
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