目が覚めたらそこは

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 どうやら俺は眠っていたらしいということがわかる。重い瞼と怠い身体。寝起きの状態だ。  なんとか身体を持ち上げて目を開く。相変わらず頭の中にはイヤホンを通してお気に入りの音楽が流れていた。  何かを考える前に違和感が身体を襲う。何かが違う。何かが違うのだ。  空気とか土とか感じとかなんかいろいろ。一番の違和感は自分の身体だった。  何故か伸びている黒髪。家を出る前に鏡で見た時は、首に掛からないショートだったはずだ。なのに今は感触からして首より少し長いセミロングぐらいになっている。  それに加えて胸の辺りが若干苦しいのと、股の辺りや腰の辺りが緩い。まるで男の大事なものがなくなって、女になったみたいな感覚――女になった?  俺はばっと立ち上がって胸と股間に手をやる。右手が胸で、左手が股間。  右手にはあるはずのない柔らかな感触が。逆に左手にはなくてはいけないあの感触が無い。 右手と左手を変えてみてもその感触は変わらなかった。  俺が、女になってるだとか、まさか、そんな、嘘だろ……?  俺は制服のネクタイを外してブレザーを脱ぎ捨てた。そして、震える手で恐る恐るカッターシャツのボタンを外して行く。  ボタンが外れた先に見えたのは、画像や動画でしか見たことのない双丘だった。大きい訳ではないが、小さい訳でもない。年相応といったところの大きさだ。  それを見た後に、ズボンの中を確認する気にはなれなかった。いそいそと制服を着込んでいく。ネクタイは外したまま折り畳んでポケットにしまった。  女になって、これからどうしようだとか、家族になんて言おうだとか、学校はどうするだとか、そんなことを驚きすぎて動かない頭で必死に考えていると、ふと周りの景色が目に入った。  巨大な木。木、と言うよりは樹と言った方がいいほど大きな樹。それが周りに何本も何十本も何百本も生えている。下は腐葉土の柔らかい土で、葉が生い茂っていて太陽の光が届かない。  ……森? なんで。俺は社の中に倒れたはずだぞ?  周りを見渡しても樹、樹、樹。  どう考えても森だ。傾斜もないから山ってことはないだろ。 薄暗い森の中に女になって放り出された。神社から。  正直言って、意味がわからない。今の状況が髪の毛の先程も理解出来ない。  この状況が説明できる奴がいるのなら、誰でもいい。誰か俺に猿でも理解できるくらいわかりやすく教えてくれ。  
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