カミカクシ

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「そして…その人は行方不明に………」 「はぁ…ちょっと待てよ…」 ようやく話し終わったようだが、ツッコミどころしかない。 「流行してる都市伝説なんだろ?…そんなに行方不明になってたら、大変なニュースじゃないか。都市伝説、噂で終わっている時点で…」 やれやれ、と呆れ気味に返す俺に話は続けられた。 「行方不明者の生きてきた痕跡は…全部消えてしまうらしいんです。関わってきた全ての人の記憶、写真、映像…とにかく全て……」 まさかそんな事は…。こいつにしては珍しく真面目な顔で話され、少し信じかけている自分がいた。 「痕跡が消えるならなんで噂に…って思ってますよね?…実は一人だけ…その人を一番大切に想っていた、ただ一人だけは忘れないそうです。そんな人たちが被害者のサイトを立ち上げ、それでこんな騒ぎになっているんですよ」 ただの噂話ではないような気もしていたが、まだあらはある。 「最後のメールを開かなければいいじゃないか。それに、最初のメールに返信さえしなければ……」 「……これ…見てください…」 何故か必死に『噂話』にしようとする俺に向けられたのは、目を疑うような携帯の画面。
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