日常

2/4
前へ
/41ページ
次へ
ジリリリリ… 鳴り響く目覚まし時計のベル。 携帯電話のアラームでは起きられない俺の為に、友里が買ってくれた物だ。 それを乱暴に止めて、上半身を起こす。今日は天気が良いみたいだな…朝日が眩しい。 「…時間…あー…今日は早めに出勤しないといけなかったんだっけ…」 ダルそうに体を動かし、ベッドから下りる俺の耳に朝食を作る小気味良い音が聞こえた。 「…もう、起きるの遅いぞ?」 キッチンまでのそのそ出てきた俺に、エプロン姿の女性…友里が振り向いて言う。 「ごめん。寝起きの悪さは結婚しても治らないみたいだ…」 二人用の小さなテーブルに並ぶ朝食。 頭を掻きながらイスに座って、友里が座るのを待つ。 『……ブームの都市伝……』 ニュースなのかワイドショーなのか、よく分からない番組がテレビで流れていたが……友里の後ろ姿を眺めていた俺には、関係なかった。 ないと思っていた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加