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ジリリリリ…
鳴り響く目覚まし時計のベル。
携帯電話のアラームでは起きられない俺の為に、友里が買ってくれた物だ。
それを乱暴に止めて、上半身を起こす。今日は天気が良いみたいだな…朝日が眩しい。
「…時間…あー…今日は早めに出勤しないといけなかったんだっけ…」
ダルそうに体を動かし、ベッドから下りる俺の耳に朝食を作る小気味良い音が聞こえた。
「…もう、起きるの遅いぞ?」
キッチンまでのそのそ出てきた俺に、エプロン姿の女性…友里が振り向いて言う。
「ごめん。寝起きの悪さは結婚しても治らないみたいだ…」
二人用の小さなテーブルに並ぶ朝食。
頭を掻きながらイスに座って、友里が座るのを待つ。
『……ブームの都市伝……』
ニュースなのかワイドショーなのか、よく分からない番組がテレビで流れていたが……友里の後ろ姿を眺めていた俺には、関係なかった。
ないと思っていた。
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