146人が本棚に入れています
本棚に追加
志村さんの顔が完全にこちらへと向けられているのを、視界の端に感じる。僕になにかしらのリアクションを求めているのだろうけど、そうはいかない。
どうせメールの誤変換もわざとに決まっている。志村さんの悪ふざけに付き合っている場合じゃないんだ。
「それからさ」
しかしながら、こちらが黙っていようが向こうは黙ってくれないらしい。
「向こうで太郎君がお喋りしてるけど」
確かに教壇の所で太郎君が、よく響く大きな声でお喋りしている。もちろん犬の太郎君ではない。僕のクラスに馴染み深い、人間の太郎君だ。
ああ太郎君、ごめんなさい。昨日の変なメールのせいで僕は完全にあなたのことを誤解していました。もう二度とあなたのことを露出狂だなんて思ったりしません。誓います。
「チャック全開だよね」
この露出狂が。
最初のコメントを投稿しよう!