146人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほわっつ!?」
ワンテンポ遅れて、芸人の方でもなかなかしないような、奇声があがった。そんなボケをかませるあたり、まだまだ余裕があるのかと思ったけど、彼女の目の端にはしっかり涙が浮かんでいる。かなり痛かったらしい。でも同情する気は全く起きない不思議。もっとやれ。
「何すんのさ!?」
シャレにならない痛さだったようだけど、クラスには笑いが起こる。百歩譲って、道化になってクラスのみんなを楽しませることがいい事だとする。でも、その言葉遣いはどうかと。
「太郎君のくせに!」
でも太郎君は、
パスン!!
世界史の先生だ。立場はわきまえるべきだろう。
もう完全に志村さんのペースだ。教室のあちらこちらで勝手な野次とお喋りが始まり、授業の体をなしていない。
先生のはち切れんはかりの怒声も完全に飲みこんでしまった。ここは心の中だけでも先生の味方であるべきかもしれないけど、いかんせん、ブリーフ派丸出しの人間を応援する気にはなれない。代わりに、心の中で突っ込む。方言は雰囲気で。
なんでやねん。
「志村!! 後で職員室に来い!! それからお前もだ!!」
「……なんでやねん」
手元のノートに視線を落としたまま聞こえるか聞こえないかぐらいの声で、結局、呟いた。
最初のコメントを投稿しよう!