トラジェディー@ボーイズサイド。

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「へ?」 俺の顔をマジマジ見て彼女は首を傾げる。 「ふんっ。 ふった男の顔は忘れたのか?」 やっぱり、千夏か。 中学の時から変わってないからわかったし。 「あっ! 三井 蓮。」 見た目が変わっていた俺に一瞬戸惑っていたようだが、思い出したらしく俺を指差してきた。 「声でかいし。 ここ図書館だぜ。」 まぁ、思い出してくれてよかったぜ。 「アンタ、よくあたしの前にノコノコ現れたわね。」 俺を思い出した途端、千夏は怒り出した。 「勘違いするな。 たまたまだ。 千夏こそ、俺様の眼鏡踏みやがって。」 何なんだよ、千夏の言い方。 何だこの複雑な気持ちは……。 もしかして、俺はまだ千夏が……好き? 「……アンタのせいで、中学生活悲惨だったのよ。」 顔を真っ赤にして千夏は俺を睨む。 俺は知っている。 俺のせいで千夏が女子から仲間外れにされ、中学時代は悲惨なものだった事を……。 俺にとって千夏は、同クラで地味だけど何だかほっとけない存在だった。 三年になって千夏が生徒会長で俺が生徒会副会長になった。 俺は嬉しくて仕方なかった。 それから俺達は自然な流れで付き合うようになった。 だけど千夏は突然俺に別れを告げた。 俺は止める言葉も見つからず、俺達は終止符を打った。 何故フラれたかよくわからず、モヤモヤしてたがやっと今気持ちの整理がついたんだ。 「それは仕方ない。」 そうだよな。 何だかんだで俺達は目立ちすぎていたからな。 「『仕方ない』ですって?」 俺の言葉に千夏は目くじらを立てる。 「俺様かっこいいし、逆恨みされても仕方ない。」 ええい。 もう開き直りだ。 「ナルシスト。 アンタなんか豚に食われてしまえ。」 ひでぇ言われようだ。 ……仕方ないよな。 「ま、俺様達は終わったわけだし高校生活お互いにエンジョイしようぜ。 は・な・び・し・さん。 じゃあの!」 俺は手をヒラヒラさせながらさっさと立ち去っていった。 何となく俺は一刻も早くこの場から去りたかったんだ。 千夏の叫び声が聞こえたが、敢えて聞こえないふりをした。
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