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ーー次の日。ーー
俺の足は授業そっちのけで、静かに図書館へと向かっていた。
もしかしたら千夏にまた会えるかも……何て淡い期待を抱きながら。
会ったところでどうなるってワケでもないがな。
昨日は確かに驚いた。
こんな地元から離れたガッコに同チュー出身のしかも元カノがいたなんて……。
「よぉ、サボりか?
一緒にサボらないか?」
道中、妙な声が聞こえてきて俺は咄嗟に身を隠した。
『下手なナンパかよ!』とツッコミをいれつつ、チラッと様子を伺う。
何といかにも『不良です』と言わんばかりの男子生徒二人に千夏が絡まれてる。
ひぇ~……。
どうしよう!
飛び出して助ける?
いやいや、センセーに知らせた方が……。
「間に合ってます。」
強気で断る千夏。
危ねぇな、オイ。
「気が強いなぁ。」
ベタベタと千夏に男子生徒達が触れる。
くそっ!
「ウザイんだけど。」
千夏は男子生徒の手を振り払う。
「なめんじゃねぇぞ!
ゴルァ!」
逆上した男子生徒の一人が千夏の後ろに周り、腕で首をしめてきた。
「くっ……。」
やばい!
このままじゃ千夏が落ちる!
「あれぇ~。
アンタ、生徒会長じゃん。」
飛び出そうとした俺の耳に、嫌な言葉が聞こえてきた。
その瞬間、俺の足はピタッと止まった。
「お前しってんのか?」
千夏の首をしめてる男子生徒は驚いているようだ。
「同クラじゃなかっけど、同チューだ。
コイツ、目立つ奴だったからさ有名人だったんだぜ。
まさか同じ高校に入ってたとはな。」
……最悪だ。
千夏の触れてはいけない過去に土足で入りやがって……。
「ひゅ~。」
もう一人の不良が冷やかす。
やめろよ!
「コイツ、副会長と出来てたんだぜ。」
やめろ……!
「エロいな。」
やめろ……!
「噂では別れたらしいがな。」
これ以上言うな……!
「ガハハ!
だっせぇ~。」
千夏の目からボロボロ涙が流れてきた。
頭きた!
もう許さない!
千夏を泣かすなんて絶対に許さない!
「……誰がダサいって?」
沸々と沸き起こる怒りを押さえながら不良の背後に立つ。
「いででで!」
千夏の首を締めていた男子生徒の腕を捻りあげた。
「蓮!」
男子生徒の腕が緩んだ隙に千夏は抜け出し、俺の元へきた。
無事で良かった……。
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