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建物はわずかに2つ。入り口に一番近い建物は小屋になっていて、『アニマルサークル』と書かれた木製の看板が立て掛けられている。サークルの部室だと思われる。
もう1つは飼育小屋なのか、部室の2つ分の大きさがある。
「カピバラ、見ていくか?」
男の人に声をかけられ、きょろりきょろりとアニサーの敷地内を見渡していた私は、顔を男の人にむける。
「あ、はい。でも、勝手に見てしまっていいんですか?」
「勝手じゃない。ほら、突っ立ってないで中に入れ」
「はい……」
どう考えても勝手な気がするんだけど。あとで怒られたら嫌だなぁ、なんて思いながら敷地内に入り、木製の門を閉める。
そして男の人の後に続く。私の感は当たっていたようで、小屋2つ分の建物が飼育小屋らしく、男の人はポケットから鍵の束を取り出して束の一つを使って鍵を開けた。
建物は古ぼけているのに錠前だけが真新しいのでちょっと気になったりした。
「ここにお目当てのカピバラがいるぞ」
ぎぃっ、と木製扉らしい音を経てて扉は開いた。
ついに謎の生命体、カピバラとのご対面の瞬間が間近になった。なんだか、どきどきする。
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