出逢いの季節

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『やっほー朔乃ぉ。入学式どうよん?』  相変わらずのはずむ声音と能天気な話しかた。竹ちんは朝でもテンションが高い。 「まだ始まってないよ、いま大学に向かってるところ」 『そうなんだ、独りで寂しくないかぃ朔乃?』 「寂しくはないかな? 竹ちんがいないから暇ではあるけどね」 『おいおい、あたしゃあ暇潰しの人材ですか』 「うん」  おどけて言う竹ちんに即答で返す。  電話の向こうで彼女は『おーまいがー』なんて、日本人まるだしの発音で言っている。  きっと携帯を耳と肩で挟みながら、器用にオーバーリアクションで肩をすくめているんだろうな。そんなところを想像してしまってクスッと笑ってしまう。 『あ、そうそう。朔乃ー、ちょっと頼みがありんすよ』 「ありんすって、貴女はいつの時代のひとですか。頼みってなに? 聞くだけきくよ?」 『聞くだけじゃなくて実行してほしいなー。そんな難しい頼みじゃないの、とあるモフモフの写メを取ってあたしに画像を送るだけよん』  モフモフ? 「綿あめの写メが欲しいの?」 『ちっがーう。綿あめじゃなくって、モフモフってのは――――カピバラ』
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