1人が本棚に入れています
本棚に追加
『やっほー朔乃ぉ。入学式どうよん?』
相変わらずのはずむ声音と能天気な話しかた。竹ちんは朝でもテンションが高い。
「まだ始まってないよ、いま大学に向かってるところ」
『そうなんだ、独りで寂しくないかぃ朔乃?』
「寂しくはないかな? 竹ちんがいないから暇ではあるけどね」
『おいおい、あたしゃあ暇潰しの人材ですか』
「うん」
おどけて言う竹ちんに即答で返す。
電話の向こうで彼女は『おーまいがー』なんて、日本人まるだしの発音で言っている。
きっと携帯を耳と肩で挟みながら、器用にオーバーリアクションで肩をすくめているんだろうな。そんなところを想像してしまってクスッと笑ってしまう。
『あ、そうそう。朔乃ー、ちょっと頼みがありんすよ』
「ありんすって、貴女はいつの時代のひとですか。頼みってなに? 聞くだけきくよ?」
『聞くだけじゃなくて実行してほしいなー。そんな難しい頼みじゃないの、とあるモフモフの写メを取ってあたしに画像を送るだけよん』
モフモフ?
「綿あめの写メが欲しいの?」
『ちっがーう。綿あめじゃなくって、モフモフってのは――――カピバラ』
最初のコメントを投稿しよう!