1人が本棚に入れています
本棚に追加
「んー、どこなんだろう……」
迷った。大学は高校と違ってとにかく広い。
何事もなく入学式を済ませ、友人同士や親御さんたちが記念撮影をしているなか、私は一人カピバラを探す旅にでていた。
入学式の行われたわいわいと賑わう講堂前を後にし、大学関係者と思われる用務員さんを捕まえて道を訊ねた。
用務員さんは懇切丁寧に教えてくれたというのに、迷ってしまった。
とりあえず自分の一連の行動を思い返してみた。
「どうしよっかな……」
きょろりきょろりと辺りを見渡してみる。
ここは中庭かな? こじゃれたカフェテラスみたい。ひとけはちらほらとあり、大学の生徒と思わしき人たちがくつろいでいる。
とりあえずは近くの白いテーブルに座っている男の人に訊いてみることにする。
「あの、すいません」
男性は本に落としていた顔をあげて私を見る。 整った顔立ちをした美男子だ。でも、長い前髪から覗く眼は鋭くてちょっと怖いかも。
「……なんだ」
あれ、怒ってらっしゃる!? 声が不機嫌だよ……
「あ、え、と……そのぉ……」
「なんだ、用があるなら早く言え」
やっぱり怒ってる、眼が鋭いよ。鋭すぎるよ。
最初のコメントを投稿しよう!