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「あのですね……カピバラさんってどこにいますでしょうかっ」
「は?」
しまった! カピバラ、さんっておかしいよ。どうして“さん”づけにしたんだ私はっ。眼が怖いから、なんかテンパッちゃったよ……
「……カピバラって誰かのあだ名か?」
いいえ違います謎の生命体です。
「えと、動物だと思われます……」
謎の生命体なんてことは言わない。だって変なやつだと思われたくないし。
「ああ――カピバラか。アニサーを探してるのか?」
「アニサー?」
「アニマルサークル。ここの大学にあるサークルの一つだ。色々な動物を飼育してる」
アニマルサークル、略してアニサーなんだ。
「あのぅ、そこのサークルにカピバラっているんですか?」
「いるぞ。案内してやる、ついてこい」
男の人は本を閉じてがたりと立ち上がる。
「あ、はい。ありがとうございます」
みためとは裏腹に良い人なのかも。内心思いつつ、私は背を向けて歩きだす男の人について行くことにした。
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